- 日時: 2017年12月2日(土) 13:30~15:30
- 場所: 湘南高校歴史館スタジオ
- テーマ: サファリ (旅) と俳句
- 講師: 内藤洋治(36回生) 俳号 霧野萬地郎
- 講師紹介と本講演の狙い:
内藤洋治君、俳号、霧野萬地郎は現在、藤沢が本部、全国に9つの支部を持つ俳句会「波」に所属、俳句誌「波」の編集を担当するなど中心的な役割をこなし、俳人として活躍中である。
- 講演内容:
俳号、霧野萬地郎は彼の愛する、アフリカ最高峰キリマンジャロをもじったもの、天気次第、現地にいてもなかなか全容を見ることは出来ないそうだ。キリマンジャロはヨーロッパ列強によるアフリカ分割時にはイギリス領 (現在のケニア) だった。1885年のベルリン会議の折、英国女王がドイツ皇帝ヴィルヘルムⅠ世の誕生日のプレゼントとしてこの山をドイツ領 (現在のタンザニア) に譲り、現在のタンザニア国のものとなっているなどの挿話あり。
日盛りや 象の糞おく 滑走路
虹かかる 地平線ゆく 象家族
夜行性のため生き生きとしたライオンの姿は中々見られないが、食事の時の音には驚かされると
食料を確保するため自分たちで作った菜園に西瓜を栽培、見事に育ったが、猿が早速荒らしにくる。するとその後ろから
河馬の目の 動く
地域の歴史、国の成り立ち、今おかれている環境など良く調べられ
アフリカの芸術品、黒檀彫刻、原色ペンキの絵画等には、かのピカソが大いに影響を受けた。
ペンキ絵の 獣らの和す 目の涼し
そして内藤家に男子誕生
独立直後のモザンビークにて、まだまだ政情不安
「ラオスとハロン湾」
歴史的に周辺国との戦いに加えて、ベトナム戦争の名残が残っている。
玉眼冴え
あたたかき 冬やコーヒー 豆の房
敬虔な仏教国でもあり
みかんもて 喜捨の並びに 加わりぬ
風メコン 象の糞から 紙
この紙、現物が参加者席を回り、一様に匂いを嗅いでいた。匂いなし。
「海外に子供用車椅子を送る会」の事業
タンザニアとラオスはこの贈呈に参加したミッションもあった。
「ギアナ高地」
日本は秋たけなわの時期だが、季語の扱い方には苦労されたよう
凡そ高さ1000メートルのエンジェルフォール,水が落ちてくるまでに水しぶきとなり蒸発してしまうため、滝壷が無い。そして丸木舟などを使った長旅で案内されても運が良くなければ見ることが出来ないとか。
滝しかと 見せたと水夫の 指の先
朝日
「ボルネオ島」
オランウータン 木の実降らして 木の実取る
象の道 折れた葉先の 糸トンボ
「イースター島とタヒチ島」
3月の南半球、ここも季語で困ったか。歴史など、なぞだらけの島 (国はチリ)
流星や
伝承の 失せし孤島や 地虫鳴く
ゴーギャンの 往還の山
産神の タトゥ躍るや 夏の月
「エルサレムとぺトラ遺跡」
この講演の直後、トランプ大統領の宣言で世界中大騒ぎだが、この地域の歴史、現状にも触れながら
パレスチナ 自治区トマトの 輪切りかな
ゴルゴダの 丘へ
風死すや ジェリコの丘は 海抜下
磨崖墓の 朱を染め上げし 大西日
「おわりに」
芭蕉は旅に病むほど辛いものがあったようだが我が宗匠は意気軒昂
「パワーポイント、プロジェクターなど使ったこと無い。どうしよう。」
などと、泣きが入ったことも有ったようだが内藤君、短期間のうちに見事マスター、スクリーンに映し出された野牛の群れの写真も突然動画に転換、スタジオのプロジェクター用の高性能スピーカーからは地鳴りの音、この日のために用意された俳句は何と115句。何と言っても誠意溢れる周到な準備、やさしい語り口が多くの参加者の心に響いた講演だった。セミナー委員会の皆様には細かい配慮を頂き有難うございました。